言葉だけでなく態度からも読み取れるように

介護の仕事で主にお世話をする相手となるのは、その大半が身体の自由が利かなくなった高齢者でしょう。中には痴呆や認知症の症状が進んだ結果、1人で身の周りに関する全ての所用や行動が取れなくなってしまった人もおり、それら全ての介助を介護スタッフが身代わりとなって行ってあげる必要が出てきます。その際自分が取りたい行動や生理現象、そして社会的な活動等、それらに対しての自分の欲求を的確に伝える事が難しくなっているという大きな問題があります。それを解決することが介護の仕事の大きな意義でもあり目的でもあるのですが、相手をする高齢者が言葉に表さずともそうした欲求を素早く正確に汲み、トラブルに発展しないうちに介助してあげるのが理想的な介護といえるのではないでしょうか。その世界で働き始めた初心者、特に身の周りにそういった高齢者がおらず、身の周りの世話や介助について全く勝手が分からない人の場合、彼等が発する僅かな欲求の態度や仕草を見逃してしまい、後のトラブルに繋がってしまうケースはかなり多いものでしょう。まず介護初心者が行うことは担当する人を固定し、常に彼等に寄り添い、その仕草や表情を小まめに観察する事でしょう。それによりその人が欲求を発する際の細かなサインを正確に読み取れる様になり、レスポンス良く適切なお世話や介助が行える様になります。もちろん言葉を交わすのがベストでありメインの方法であることに違いありませんが、その手段さえ容易に取れなくなってしまった人も介護の対象だからこそ、質の高い介護サービスを提供するために言葉以外のコミュニケーション手段も必須なのです。